Volume2(第2期)の感想
1. RWBY volume2
アメリカのアニメーション制作会社"Rooster Teeth"の手による作品。
日本風のキャラクター造形ながらアメリカタッチな掛け合いとアクションシーンで一部のアニメファンに好評を博しています。
そんな本作はこのvolume2でも期待を裏切らない楽しさを提供してくれました。
独特のバトルアクションはもちろん、恋と友情の学園ドラマという側面においてもその魅力にますます磨きがかかっています。
2. あらすじ
港を襲ったローマン・トーチウィック率いるホワイト・ファング部隊を撃退し、ワイスとブレイクも仲直りしてその絆を修復。
いつもの学園生活に戻ったルビーたちは、食堂でリアル・フード・ファイトに興じるなどやんちゃで楽しい日々を送っていた。
しかし、チームRWBYの一員でえあるブレイクの心は落ち着かない。
トーチウィックやホワイト・ファングが暗躍し、ビーコンの街を狙っているかもしれないという状況でのんきにしてなどいられないと言うのだった。
そんなブレイクの言葉に動かされ、街で不穏な動きがないか探ることにしたチームRWBYと仲間たち。
それぞれが街中で様々な出来事に遭遇するなか、ホワイト・ファングの集会に潜入したブレイクとサンはトーチウィックが軍から盗んだロボット兵器を支持者たちの前で見せびらかす姿を目撃する。
不運にもトーチウィックに見つかってしまい、会場から逃走するブレイクとサン。
しかし、彼らの背後にはトーチウィック搭乗のロボット兵器が迫っていて......。
3. 感想
ロボット兵器との戦い、恋の駆け引きとダンスパーティの結末、街を襲う巨大なグリムたちとの決戦など、短いスパンで盛り上がりどころがやってきて視聴者を飽きさせません。
また、大枠のストーリーだけでなく個々の要素も魅力的。
アクションシーンの面白さを本記事では繰り返し強調しておりますが、日本のよくあるアニメと違う特徴は「長回し」と「ぶっ続け」ではないでしょうか。
短く区切られて視点が目まぐるしく変わり、画面全体を覆うようなエフェクトが多用されるのではなく、1つのカメラで戦闘シーンをぐるぐると追いかけるような映像構成は一つ一つの動き(パンチやキック)の繋がりが強調されて肉弾戦を迫力あるものにしますし、必殺技的な特殊攻撃もその移動距離や速度、重厚さをより強く感じさせます。
日本のアニメは全体的にカットインや視点の移り変わりが激し過ぎて何が起こったのか分かりづらいことが多いですし、途中で台詞や解説が挟まってテンポが悪くなってしまいがちです。
一方、本作では主たるアクションを1つのカメラで追い続け、なおかつ言葉を挟まずとも各々の戦術が理解できるという非常に気の利いたアクションシーンになっているからこそ、目が離せないのだと思います。
加えて、ダンスパーティの相手探しと恋の駆け引きという学園ドラマの定番要素を真剣かつドラマティックに進行させるというところも丁寧です。
バトル漫画的な作品では恋愛要素がギャグ的に扱われたり、バトルの副次的要素という位置づけ(バトルの経過や結果で惚れた腫れたが起こったり、逆に恋の決着がついてしまう。またタッグバトルが恋愛要素と繋がっているなど)になってしまいがちですが、このRWBYにおいて恋は学生としての心模様として独立しています。
三角関係の形成や最終的にどんな人物の望みが叶うのかという点はありきたりなのですが、バトルシーンやコメディシーンを通じて各キャラクターに愛着を抱いてしまっているぶん、その人間関係の行方にどきどきしてしまうのは必然というもの。
ジョンがパーティ会場に現れるシーンの「粋」さと、ダンスシーンの躍動感は特筆に値するでしょう。ぐっとくるシーンをつくるのが本当に上手い作品です。
全体的として、バトル・友情/恋愛・コメディとバランスよく楽しませてくれる良質な作品で、それこそ週刊少年ジャンプに連載されていたり、19時台に放映されるアニメであったりして欲しい作品です。
妙なメタ要素や皮肉、インターネットにおける流行っぽいネタに走ったりせず、王道かつ全てのレベルが高い作品がアメリカから出てきたというのは日本で生まれ育った者としてどこか寂しさすら感じます。
以上が全体的な感想ですが、volume2における個別のシーンでお気に入りを挙げるとすれば、それはニオV.S.ヤンのバトルシーンです。
特にニオの戦い方が私のお気に入りで、派手な武器(ほとんどの登場人物は近接武器と銃が一体になったオリジナル武器で戦います)と華々しいオーラ技(それぞれが持つ個性的な特殊能力)で圧倒するような戦い方をするキャラクターが多いなか、シンプルな構造の傘一本を巧みに操ってヤンを翻弄し、オーラではなく純粋な格闘技能で敵を追い詰めていく姿は劇中でも異質で惹きこまれてしまいます。
複雑なギミックが仕込まれた各キャラクターの武器とは異なり、開く/畳むしかできない傘でこれほど多彩かつダイナミックな動きを見せられるのはニオもといRooster Teethアクションチームの確かな実力を示しているのでしょう。
4. 結論
まさにアニメーション界の黒船なのではないでしょうか。
学園生活の様子やコメディシーンにおけるジョークなどは完全にアメリカ風であるものの、キャラクター造形や世界観などは完全に日本風アニメでありまして、この日本風アニメーションという場所においてもアメリカが日本を抜き去りつつあるのではないかと感じさせます。
大人から子供まで楽しめる万民向けエンターテイメントになっている一方で、幼稚過ぎないのが本当に良いですね。是非、視聴をお薦めします。
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